少なくともベトナムにおいては
「悪質な送り出し機関しかない」
というのが持論です。
「悪質」という言葉について定義することが必要ですが、当社では「悪質なブローカーや悪徳業者」は"ウソや言葉巧みに騙して、不幸を生み出し、その責任を負わない"としています。一方、「技能実習制度」においては"制度で定められたルールを破っている"
それが1つでもあるのなら、それを悪質だと定義します。
組織ぐるみか、担当者レベルで悪に手を染めるかの視点で、担当者(例えば募集係や営業担当)の暴走を食い止められるほどのチェック機能を持った完璧な組織づくり・管理体制を設けることはほぼ不可能なはずです。
ベトナム人たちの思想において、ある者はそれを「悪」だと認識しておらず、ベトナムでは当たり前だと言い張る風潮があります。
担当者レベルの勝手な暴走だとしても、それが組織の一部に組み込まれていたのであれば、組織全体として責任を負うべきはずです。
・日本の国会議員による口利き疑惑
・日本大使館職員による金銭要求疑惑
※これはSNSの投稿記事を読んだだけでフェイクニュースの可能性もありますが、事実として自分が一緒に働いたことがあるベトナム人女性は、在ベトナム日本総領事館の非常勤職員として働いていた経歴を持つ者でしたが、彼女はお金のこと(自分の収入や徴収される社会保険料のわずかな違いにおいて)となると、冷静さを失い、上司の指示を無視して、激昂し、暴挙を振るう人物でした。
・ライセンスを止められた送り出し機関は、グループ会社全体としては今もこの業界で活動しており、そこで働いていた者たちも多くが今もこの業界で仕事をしています。
・仮に、清廉潔白をモットーとして、完全に気心知れた身内のみを社員として雇う送り出し機関があり、それを気に入った日本企業がオファーを出すとします。そのオファーが毎月100人欲しいとなったとき、またはそれ以上に増えたとき、募集機能の強化・増員は不可欠であり、オファーを出す側も「できません」と断られても困るので、やがては他社(清廉潔白でない)のやり方に染まっていくのではないかと。
この業界に限らず、多くのベトナム人の思想において愛社精神・永久就職という考えは希薄です。1年以上勤めたら長く務めたという考えの中で、居心地や待遇が良ければ長期に勤める者たちが現れるでしょうが、それ以外はより良い待遇を求めてだとか、資金を蓄え、人脈を築き、経験・技術を修得した後で自分の会社を興したいなどと考え、キャリアアップを図る者たちが多いです。
また、副職を持つ者も多いですし、同業界内で掛け持ちをしている者たちを多く見かけます。
こういった者たちは、能力が高い(日本語能力・人脈・営業PRなど)者たちです。
従って、彼らと取引を行いたいというニーズがあります。
彼らの目的は、自分の懐に何がどのぐらい入るかとなります。
そのような中で、モラルを維持することは企業としての成長・拡大を図らないという選択になり兼ねません。
オーダー(●月●日までに、男性または女性を何名面接して採用したい)をもらっても「集められません」という返答であれば、そこで終わりです。それが無理難題な条件で同業他社も引き受けられないのであれば交渉の余地がありますが、他社が引き受けることができる案件であれば、特別な理由がない限り次回以降の取引も望めないかと思います。
従って、各送り出し機関内における「募集部・募集係・募集担当者」の影響力(発言力含む)は高いです。
組織によっては、社長や役員ですら口出しできないケースが散見します。
通常、応募者を集めようとする際に取る方法は、自社HPやSNSに投稿して拡散を求めたり、知り合いからの紹介に頼ります。その分には、無料で済みますが、数が多くそれが繰り返されるというのであれば、早々に限界がきます。また、メディアへの広告掲載であれば、広告費が発生するものの、応募者が集められるかは不透明です。
従って、多くの送り出し機関で行われているのは、応募者を買います。
つまり、応募者を売っている業者が存在し、これが技能実習制度業界を支えています。
応募者を売る業者は、地方の有力者が関わっているケースが多く、ベトナムという国において有力者と接する者の役割は非常に大事です。
また、財布の紐を握っていない者たちとの商談は非効率です。
こうして「募集部・募集係・募集担当者」が社内で影響力を持つこととなります。
それを煙たがる社長の考えで、自社で募集機能は持たず、すべて外部に委託するという送り出し機関もあります。
技能実習制度は、「国際貢献」「技術移転」だと言われて久しいですが、100%税金で賄われて活動しているわけではなく、送り出し機関・監理団体ともに売上が立たなければ活動ができなくなります。また、公認と非公認を含めると何百という送り出し機関が存在し、顧客の獲得・奪い合いの競争を繰り広げています。(この頃は、フィリピンの送り出し機関が強くて、ベトナム人採用からフィリピン人採用に切り替える動きが出てきたという噂もあります。)
あらゆる人が、あの手この手を使って顧客を得るための営業活動を行っています。
日本と外国の倫理観は違います。(※余談ですが、この業界に限らず、韓国企業はその国々毎で倫理を使い分けることがうまいので海外進出がうまく、日本企業は日本本社のコンプライアンス重視の姿勢を遵守するためローカルや他の外資企業との競争に負けてしまうと言われています。)
各個人ごとによっても違います。
無秩序な競争の中で、結果を残せるものが勝者であり、それを「巧みに」できる者を求めるニーズが存在しています。
いずれかにおいて表沙汰にできないものが動いている可能性は極めて高いです。
仮に、家族経営または完全に気心しれた仲間で集まった良心の塊のような集合体が出来上がり、
不当・不正な行為は一切せずに送り出し機関としてのライセンス(営業許可)を得て「いざベトナム人と受入企業のために励もう!」と熱心に活動していたとします。
しかし、受注量が増えれば、人員を増やして組織を拡大しなくてはなりません。
そうなればコントロールが行き届かず、いつの間にか悪に染まっていることになり兼ねません。
従って・・・
正義を貫きたい送り出し機関へは ”新たなオファーをしない” ことが思いやりとなります。
【関連記事】ベトナムの送出機関開拓について
[主幹]
日越貿易合同会社
西村HCM(ホーチミン)事務所(担当:西村)
住所:Nguyen Van Mai, P. Vo Thi Sau, Q3, HCMC, Vietnam
TEL : +84 79 843 5609
日本では名を轟かせている3大牛丼チェーン店である吉野家さん・すき家さん、そして松屋さんが遂にベトナム最大の商業都市"ホーチミン"に出揃いました。