強制送還について

通称「強制送還」には3種類あります。

・退去強制

・出国命令

・「在留期間更新申請」または「在留資格変更許可申請」不許可処分

出入国在留管理庁のホームページによると、強制退去は5年間(2度目以降は10年)、出国命令は1年間は上陸拒否(=再入国禁止)」と書かれています。(出処:出入国在留管理庁Q&A

逆の捉え方をすると、5年や10年、はたまた1年を過ぎれば、「合法的に」再入国できるということになります。

 

さらにいうと、ベトナムで別の人物になりすましたパスポートを発行することは容易いです。指紋や虹彩検査で照合しても、それもくぐり抜ける技術・方法とのイタチごっこが予想されます。(元日産のK氏が海外渡航が禁止された保釈中に出国できたように。)

逮捕され強制送還されたベトナム人窃盗団のリーダー
ベトナム人窃盗団のリーダー


強制送還の3パターン

退去強制

処罰として最も重く、即時退去またはそれが適わぬ場合、収容所に入れられることになります。

それにかかる交通費ですが、

  1. 自費出国
  2. 運送業者の負担
  3. 国費(日本の税金)送還

があります。

当然、国費を使うことには批判があります。

また、イランやトルコなどの一部の国では法律?宗教?で、本人が望まない移動は認めないという決まりがあるようで、強制送還される者を受け入れないことが問題となっています。

出国命令

不正や不備があることを認めて自ら出頭し、近日中に出国することが確実な場合は、身柄を収容しないまま出国させる処置です。

 

退去強制との違いは、出国するための準備(荷物の整理、友人たちとのお別れ会、おみやげの購入など)ができることです。

 

 退去強制が「再入国禁止が5年(2回目は10年)」なのに対して、出国命令は1年なので、比較的短期で再び日本に戻る道が拓けることになります(ただし、再入国審査における入管判断次第です)。

在留期間更新申請・在留資格変更許可申請不許可処分

「在留期間更新申請」とは、在留カードの期限切れ前に更新を行うことです。

「在留資格変更許可申請」とは、例えば留学生だった者が学校を卒業して、就職した場合に在留資格の変更を行う際の申請です。

 

よくあるのは、留学生には週28時間(※学校の夏休み・冬休みなどは別)しかアルバイトが認められていないのですが、それ以上に働いてしまっていることが発覚したら「オーバーワーク」として、在留期間更新または在留資格変更が認められません。代わって在留資格「短期滞在」に切り替わり、期限内に出国準備を行うことになります。

 



強制送還→「(母国で)収監」とは限りません!

 それぞれの国によって違うのでしょうが、少なくともベトナムでは日本で万引きして捕まった、実習先から失踪して不法滞在・不法就労を犯した程度で収監(刑務所行き)は考えづらいです。

 

 さらに、不法就労・窃盗・詐欺などで稼いだお金が日本にあるのであれば財産を差し押さえることが可能かもしれませんが、外国に送金してしまっていて、さらに善意の第三者に渡っているとなれば日本の警察や入管職員が取り返すことはできないはずです。

 

 従って、技能実習生や留学生たちは厳しい環境から逃れて不法滞在となっても、それ以上に稼げる方法を見つければ(その指南役もたくさん存在しているようです)、捕まらないことと病気にならないことを心がけて過ごし、自国に戻りたくなったら無一文で入管へ出頭すれば、保護してもらえるし、旅費を日本の国費で払ってもらえることになります。

日本での留学中アルバイトのやりすぎで大学を中退したが、自らの体験と知識を活かしてベトナムで起業し日本へ留学生を斡旋する会社を立ち上げたT氏

<ベトナム人留学生T氏の事例>

 かつて留学中のオーバーワーク(アルバイトを規定時間以上行っていた)が発覚して、在留カードの更新が認められず、在籍していた専門学校の中退を余儀なくされた者がいます。

 

 帰国して間もなかった彼に会ったので、ベトナムにおける処罰は一切なしです(ちなみに、オーバーワークは、日本では"不法就労"という罪名です)。日本に9年間滞在したので自分は日本語堪能でありN1を取る必要はない、日本では毎月20万円ほどをアルバイトで稼いだと誇らしげに語っていました。

 

 現在、彼はその資金と実体験を元に留学生や実習生の候補者をあっ旋する日本語センターをベトナムで開校し、日本語や処世術を教え、実業家として成功して裕福な暮らしを送っているようです。


処分を受けたことがある者の再入国について

在留資格認定証明書交付申請書に犯罪を理由とする処分を受けたことの有無を記載する欄があります。
在留資格認定証明書交付申請書に犯罪を理由とする処分を受けたことの有無を記載する欄があります。

 留学生時代のオーバーワークを指摘されて、就職時に「在留資格変更許可申請不許可処分」を受けた者が、一旦帰国した後、新たに在留資格認定証明書交付申請に挑むのに関わらせて頂いたことがあります。

 上陸拒否期間を過ぎたとはいえ、入国審査を通してもらうことは別物だと思ったのですが、この者の場合は認めてもらうことができました。しかも、申請できる最長期限である「5年」で認められました。

 

 「退去強制」や「出国命令」だと違うのかもしれませんが、退去強制の1度目は上陸拒否期間5年、リピーターの場合は10年とされているので、リピートできるという解釈もできます。試す前から諦めず、挑戦してみるのがよろしいかと思います。その際、申請書には正しい記載(ごまかそうとしない)を行うことをお勧めします。


「不法滞在」の者たちを雇用することで

自分自身(外国人材採用担当)および自社の社長が逮捕される可能性があることを想定していますか?

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