ホーチミンのスターバックスで勉強をしているとマスクをした20才前後のベトナム人女性に話しかけられました。
ベトナム人女性「Can you speak English?」
私「A little」と返します。
※以下、彼女とのやりとりはすべて英語です。
私は体質的に普段から赤ら顔なので、「あなたは熱があるのですか?」と尋ねられ、
無いけどなぜ突然そんな質問を店員でもない他人がしてくるのかと考えをめぐらせ、返答に困ってドギマギしていると、彼女は店の外に出ていきました。
「コロナへの警戒が強い人だったのかな」と後で考えつつ、
勉強を再開しました。
その時の席はお店の端に座っていて、ガラス越しに店の外側が見える場所です。
1~2分後、先ほどの彼女がガラスの向こうにいることに気づきました。
熱心にスマホを打っています。
「私を通報しようとしているのだろうか?」という考えが浮かんだのですが、
今やコロナへの過敏反応が薄れたホーチミンでは考えすぎだろうとも思います。
彼女も私の視線に気づき、目配せをして、ちょっと待ってというような仕草をします。
彼女がスマホを打ち終わると、それをガラス越しに私へ見せてきました。
要約すると、
- 私は貧乏な大学生です。
- おながかすいています。
- 食事をごちそうしてくれませんか?
ということでした。
先ほどの質問以上に、頭が混乱して、色々なことがよぎりました。
- 詐欺か勧誘の類?
- なぜ私を選んだ?(後々考えると、色々とおかしいのです。熱があると思ったから避けたのであろうし、私のテーブルの上を見れば日本人とはわからなくとも外国人であることはわかるだろうし、ここは5つ星ホテルが立ち並ぶ場所で賑わう店内にはお金持ちの装いをした人たちが大勢いる中でTシャツ&ジーンズ&サンダル姿の私がその中で裕福に見えるはずがないのです。)
- お金のないあなたはなぜここにいる?(大学生の通学路であるわけがない場所です。)
けれど、警戒心よりもポジティブな衝動が上回りました。
私「OK」と回答します。
“なんでそんなことをしたのか?”というのも、後に冷静になってから自分を分析してみました。
- 若い女性だった。(男だったら断ったかも。)
- 受けた印象として本当っぽかった。
- 「お金をください」ではなく、「食べさせてください」という表現だった。
私が承諾したことにより、再び彼女はこちらへやってきます。(熱はどうでもよくなったようです。)
私の隣りにちょこんと座って(それが可愛らしかった)、早口の英語でなんだかんだと話すのできちんと聞き取れなかったのですが、外に出ましょうかみたいな話だったので(このスターバックスの周りには飲食店が複数あります。)、それは怖い(≒怪しい)のでこのスタバ内で済ませることにしました。
いっしょにレジに並んで、彼女がショーケースの中から食べ物を選び、注文の際に「飲み物も頼んでいいですか?」というので承諾しました。
レジに並んでいるときに気づいたのですが、着ている服はどこかの大学のロゴが入ったポロシャツで、こういった服を着ている各大学の大学生をよく見かけるので、偽装工作でなければ本当に貧しく飢えていた大学生なのではなかろうか・・・。
勝手な想像でしかないのですが、外資系の会社がたくさん入ったオフィスビルが隣接しているので、インターンシップとかで来ており、あまりの空腹に耐えかねて助けを求めたのではないかと。
レジで並んでいる数分の時に電話番号やFacebookなどの連絡先を聞こうという考えも浮かんだのですが「それをやったら下衆かな」という考えが生じ、連絡先は交換しませんでした。
注文し、支払いを終えて、品物を受け取るためのレシートを渡して、私は自分の席に戻りました。
もし、私の席の隣りが空いていたら、隣りに来たかもしれませんが周りの席はどこも埋まっていたので、少し離れた場所で彼女は食事をしているのを見つけました。
遠巻きながらそこで初めてマスクを外した顔(横顔)を見ます。
正直、マスク美人だなという感想を抱きます。
私も勉強を再開したのでしばらく視線はテーブルに向っていたのですが、一段落ついてけのびをしている時、丁度、彼女が帰る時で「Thank you」と一礼したのでこちらもバイバイと手を振って、彼女は去って行きました。
彼女の食事代186,000VNDは日本円だと(歴史的円安の最中なので)千円前後でして、
彼女がこれをあちこちで他の人たちにも繰り返しているのであれば抱く感情が変わりますが、ささやかながら「良いことをしたのではないか」と思いたいです。
未だ解決せぬ疑問は数多くありますが、そんなハプニング多発国ベトナムとそれに乗っかれた自分を良しとしています。
なお、ハノイの日本人街にいる募金集めのベトナム人男性は詐欺師(もしくは本人も誰かに騙されているが気づいていない)だと専らの評判なので、お気をつけください。
私も遭遇しましたが、「お金ください」だったの、警戒が上回りました。