ホーチミンはロックダウンを 諦 めるかもしれないらしい
極めて厳しい強硬措置実施中のホーチミンだが感染拡大が止まらぬ状況
<ホーチミンの現状>
日本の緊急事態宣言より断然厳しいベトナムの社会的隔離措置も数段階あります。(何人以上の集まり禁止という人数制限の増減や業種業界の営業停止命令など。)
2021年7月に、ベトナムの法律における最も厳しいコロナ対応の為の「社会的隔離措置」がホーチミンで実施されました。
日々が過ぎ、減らずに増え続けたので、これまでにはなかったようなことを段階的に打ち出してきました。
買い物制限(買い物券を配って、指定された日時と指定された近所の店にしか行けない)や18時以降外出禁止は終日外出禁止令に変わりました。
一般労働者は(強硬措置の)段階を追うごとに職を失う人が増えます。
さすがに医療分野へ営業停止命令が及ばなかったようですが、友人の兄が(コロナ関係以外の)病院に勤めています。けれど、来訪する患者数が激減したから病院の財政状況が良くないらしく給料が半分になったと聞きました。
ベトナムの政府関係者および公務員は100%の給料をもらえているのでしょうが、それ以外で(現在の状況において)100%の給料をもらえている一般労働者は極めて稀な存在です。
ベトナムは正社員でも、固定給+歩合制で「歩合」が占める割合が高かったり、月給や日給の定めが曖昧だったりします。
<やり過ぎたコロナ対策強硬措置?>
ホーチミン市内にはベトナムの法律的で定められていて「(比較的規模の大きな)工場」がほとんどないのですが、ホーチミン郊外には工場団地がたくさんあり、大規模および世界的に有名なメーカーの工場がいくつもあります。
およそ通勤時間が車で1時間~2時間超の場所で、多くの日本人・外国人駐在員はホーチミンの中心部に居住して、各会社・工場の営業日・稼働日に毎日(会社が用意したバス等で)通っています。
日本人・外国人駐在員と、ベトナム人の中でも高級取りな幹部はホーチミン市内から行き来しますが、一般労働者は工場周辺に住んでいる者が多いです。(自身の地元だったり、地方からの出稼ぎだったり)
今回のコロナ対策が強硬化される中で、すべての工場(ローカル・外資問わず)に対してクラスター発生源になりかねないとして、自宅通勤を禁止としました。
工場稼働の条件は全従業員が工場内で寝泊まりするか、宿泊施設を借り上げて工場と宿泊施設の移動のみを許可するという条件を課したのです。
自分がベトナムに赴任した頃、幾度となくベトナム人から言われたことは「ベトナム人にとって一番大事なのは仕事よりも家族です。」
それに対して、日本人は「家族のために仕事をする」と返しますが、思考回路が違います。
仕事のために家族を犠牲にすることが許されないそうなのです。
「コロナだから」「お金が必要だから」と納得する人たちもいるでしょうが、(当然!)その分の手当は必要でしょうし、
日々を重ねるごとに各工場内で起こる不平・不満の爆発を想像するのと、管理者(※もちろん、ワーカーと一緒に寝泊り)のストレスは半端ないと容易に想像できます。
<参考:コロナ以前、労働組合によるストライキが多発していた国です。>
よって多くの会社は経営判断として、工場停止はやむを得ないとなります。
<個人的には歓迎!方針転換>
これまで3度に渡ってコロナを制圧してきた自信からなのでしょうが、前述のとおり、ベトナム政府の対コロナ策の目標は「ゼロコロナ」なのです。(※国外在住のベトナム人や一部外国人を受け入れていますが、その隔離措置も日本の比ではないほど厳重です。)
私は、今まで数年間ベトナムで暮らしてきたとはいえ日本人感覚が残っています。ただでさえ厳しいのに、それでも増加傾向が続くので段階的に強硬策がさらに強硬化していくのをみていて、ゆくゆくは火攻めや兵糧攻めで人減らしを始めるのではないか?と恐れ慄いていました。(※実際に流れたデマ情報として、消毒液を空中散布するというのがあり、人体に害を及ぼすかもしれないから部屋から出ない方がいいと広まったことがありました。)
引くに引けなくなった暴君の方がコロナより怖いです。
それだけに、今回「ホーチミンはロックダウンでの対処を諦める」といった趣旨の報道は、歯止めが効いたようで嬉しさが感じられるほどです。
今の時点では、詳細な正式発表はなく、政府高官がそのようなコメントをしたというレベルです。
そして、日本の歴史残す愚策"Go to キャンペーン”もなく、完全にフリーにするわけでもなく、
おそらくですが今の厳戒レベルを引き下げたロックダウンにして調整を図っていくのだと思います。
良かれと思ってやってみたけれど、(結果として)ダメだったのでやめる。
そう言ってもらった方が、延々と長引かされて「どこまで人権を阻害していくのか?」と不安を抱くよりも、よほど共感が持てます。
知り合いで大学の先生になりたいベトナム人大学生が「感染者が増えるよ?」と反対するかのように異を唱えていました。
仕事ない→給料ない→お金ない→買い物できない
そうなると、餓死(自己犠牲)か略奪(他人犠牲)です。
ベトナム政府が配給してくれる。(※ちなみ私は約2か月封鎖されていましたが、どうやら配給は一度もなかったようです。)
ベトナム政府の資金源は税金です。その税金はどこから徴収するのか?自分らが稼働と労働を止めた会社・工場や労働者?ホーチミン以外のベトナムの国税?国際援助?
どこの国も今は自国内の財政状態が大変なはずです。
(日本とて、コロナ収束後にやってくるのはかつてない大増税だと思います。)
外国からの支援は期待しない方がいい。
ベトナム最大の商業都市はホーチミンであり、首都ハノイも厳しい状況です。
そうなると、他からの支援を期待せず、自国内・自地域内の財政を改善させるしかない。
第1波~第3波で中国を筆頭に諸外国がコロナで苦しむ最中、ベトナムは「コロナ優等生だとモテ囃 されたので、ポスト中国、ポストタイは「ベトナム」だと大注目を浴びました。(実際、そういう動きが日本でもありました。)
今回の第4波で、全工場へ課した上記条件は、経営者にとって到底受け入れられるものではなく、諸外国からの反発があったのだと思います。
その圧力が影響したのか否か、真相はベトナム政府のみが知るです。