日本側とベトナム側との認識の違い
<収束した? >
認識にズレが生じていることを知りました。
昨日、とあるこの業界関係者(日本在住日本人)のコメントを読んでいると「新型コロナウイルスがほぼ収束した日本では・・・」という文言がありました。
一方、自分(ベトナム在住日本人)はベトナムから日本のニュースを眺めていると、連日40名前後の新規感染者が現れていることに驚いています。
その数はベトナムの感染拡大ピーク時の数字で、その時にベトナムは徹底した社会的隔離措置を実施して感染拡大を防止しました。
けれど、日本はこの状況において規制を緩和させていることがさらに驚きです。
< 日本は新型コロナウイルスの感染が拡がっている危険地域である >
こう考えるのは自分だけでなく、ベトナム人にも同じ考えの者たちが少なからず存在するはずです。
自分は「経済を止めるな派」なので、経済活動の再開・促進については賛成です。
けれど、嫌がる者を巻き込むのは違う話だと思います。
新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の緩和
日本の水際対策の緩和で、ベトナムが他国よりも先だって日本への入国が認められることになります。
事前の予想通り、その対象に「技能実習生」も含まれました。
ビジネス渡航に「技能実習」が含まれたことに腑に落ちない点はいくつかありますが、決まったことにとやかく言っても仕方がないの飲み込むとします。
けれど、上記のとおり、本人感情として今この時期に日本へ行きたいのか?
技能実習生送り出し機関に勤めている友人の話だと、この頃、日本側の採用活動が再開されて、新しいオーダーを受けているそうなのですが、ベトナム側で応募者が集まらなくて苦労しているとのことでした。
< 選択権の有無 >
これまでも技能実習生については「そそのかされた」や「だまされた」という話が多々ありました。
けれど、結果はともかく無理やり連れて来られたわけではなく、本人の意思決定を経て彼ら・彼女らは技能実習生となることを選び、日本へやってきました。
その後、場合によっては「理想と違う」「聞いていた話と違う」などと嘆いたり、愚痴を吐いています。
過程において詐欺行為があったのであればその罪はきちんと罰せられるべきですが、
正しい情報をきちんと伝え実行した上で本人が不平不満を抱くというケースもあります。
何が起きたかは個々の事情によって違いますが、本人に選択の余地があったことは事実として挙げられるはずです。
今回、仮に日本で新型コロナウイルスは収束していないと怯える者がいたとします。
けれど、日本政府はベトナム政府と合意した。
受け入れ企業はすぐにでも来てほしいという。
監理団体のお客さんは受け入れ企業なのでその要望を汲み取らざるを得ない。
主導権を握っているのは日本側です。
監理団体が技能実習生たち個々の「待ってください」なんて意見に声を傾けるとは考えにくく、
「拒んでもいいけど、本人都合による辞退という扱いになりますがいいですか?」と伝えられるかもしれません。
(※技能実習生の受け入れ(監理団体型の場合)は、研修施設の空き状況、受入れる企業の都合、引率する監理団体担当者の予定を調整して決まっていきます。基本的に集団行動なので、技能実習生一人一人の都合や要望に合わせるわけにはいきません。)
つまり、それは本人たちからすると”本当は今、行きたくないけれど、断ったらこれまで費やした技能実習生になるための費用・時間・労力が露と消える”という弱みを握られた状態での選択なので、従わざるを得ないのではないでしょうか?
どこからが「強制労働」の境界線なのかわかりませんが、
今回はそちら側に近づいた気がしています。
(※もちろん、ベトナムで待機して勉強を続けていても費用が膨らむだけなので、はやく日本へ行って働き、収入を得たいと思っている者たちもいるでしょうから、本人が臨んだ渡航なら文句はありません。)