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介護業界による節操がない外国人材採用活動

各業界が人手不足から一転して人員整理に取り組まなくてはならないのかと悩む中で、介護業界は積極的な外国人材採用が進められています。

<ウィズコロナで3Kとなった介護職>

業務の一部であるならともかく、非接触ではいられないのが介護の仕事で、

もともとの「きつい」「汚い」に、新型コロナウイルスの影響で「危険」が加わり、

3Kが揃ってしまったことになります。

 

他の業界は、つい最近までの人手不足が一転して事業縮小や人員整理の検討がなされている中で、介護業界は相変わらずの人手不足の状態が続いているようです。

 

“介護“が重要な仕事であることは承知しており、介護職に就いている方々を尊敬していますが、介護業界全体の外国人材採用方法については「節操がない」と冷ややかな目でみています。

 

介護以外の業界は新型コロナウイルス騒動中、現在大量に技能実習生を雇い入れているような食品加工業等の任期満了を想定しての入れ替えや既存のお客様からの増員要請以外は、新規採用案件はほぼない状態です。

 

けれど介護業界だけは、新たな動きが次々と進められています。

 

<外国人材採用における介護業界の動き>

先日、キルギスから日本へ人材紹介業に新規参入したいというキルギス人の方とお話させてもらったのですが、やはり介護人材でした。

 

数十人雇い入れてくれるという話をもらったのだそうですが、

日本語能力はN3レベルだそうです。

 

「2年かけて育てるのですか?」と尋ねたところ、

キルギス人応募者もそんなには待てないとのことでした。

 

新規参入だから仕方ないのかもしれませんが、オーダーがあって喜んでいるようでしたが考え方があさはかでした。

 

オーダーする側も、なぜキルギスなのか?N3育てるのにどのくらいの日数がかかるか知っているのか???

自分は「冷やかしなのではないか?」と考えてしまいました。

 

ベトナム国内で聞いた話では、友人が勤めている送り出し機関で”特定技能の介護職”で数十人を採用するオーダーをもらったそうです。

けれど、ベトナム国内での技能試験がいつに行なわれるのかわからないので、

日本に行って試験を受ける計画を立てていたそうです。(新型コロナウイルスの影響で中止になりました。)

 

旅費は、どちらが負担するのかと聞くと、本人が半分だして、残り半分は受け入れ企業か学校側が払うか相談して決めるとのことでした。

 

確かに、ベトナムの特定技能は動きが遅いので、それに向けて準備を開始してしまった人たちにとっては、いつまでも待っているよりは前進することができて良いのかもしれません。

 

けれど、試験に必ず合格できるわけでもないでしょうし、ベトジェットエアー(ベトナムのLCC航空会社です。)を使ったとしても、ホテル代などを考えると安くはないはずです。

せっかく憧れの日本へ行くのだから観光もしたいでしょうし・・・。

 

また、おそらく受入れを予定している介護事業者が保証人となるのでしょうが、失踪者が現れて責任を問われたら、

採用活動が頓挫するリスクを抱えることになります。

 

それぞれの思惑があるのでしょうが、自分だったらオススメしない採用活動です。

 

<世界各地から介護人材を集めようとしている>

キルギスに話が行くぐらいなので、他の国にもこういったオーダーが届いているのだと推測すると、

介護業界は世界各国の人々が入り乱れて働くことになります。

 

「統率が取れるわけがない」と考えるのは、余計な心配なのでしょうか・・・?

 

介護職は、在留資格の種類が多いのです。

  • 在留資格名「介護」
  • 技能実習の作業項目としての「介護」
  • 特定技能の介護
  • 特定活動の介護

在留資格が変われば置かれる状況も変わります。

同じ職場内で違う在留資格の者たちが入り混じって働いていれば、

仕事は同じなのに、待遇が違うということも想定されます。 

 

自分は、転職リスクがない(※失踪リスクはある)“技能実習”が良いのではないかと思っていたのですが、上記のベトナムプロジェクトは”特定技能”で進められています。

 

理由を聞くと、応募者を集めるための給料が関係しているようですが、その金額も決して高いものではありませんでした。

 

介護業界の根深い問題は、給料が安い。

 

これを解決すると、外国人材採用方法はスムーズになります。

 

一方、仕事は大変だけど、給料が安い。

けれど、高い日本語能力を求めるという傲慢な姿勢を変えないことには、

節操のない外国人材採用活動が拡がっていくだけだと考えます。

 

 

外国人材を上手くコントロールできるマネジメント力があれば別ですが、

そのような会社は少ないでしょうから、

想定されるのは現場の混乱、利用者からのクレーム、労使トラブルなど・・・

嫌な予感がします。

 

「受け入れる企業側よし、働く外国人材よし、社会よし」の三方良しを実現させるには、待遇の改善が必要だと考えます。

そのために、経営のやり方変えるのであれば、外国人材の採用に注力するよりも、抜本的問題の解決に繋がってよいと思います。

 

今は、低待遇で働ける人間を遠くや奥地からかき集めているあさましい行為に見えます。