実行に苦しむ様子が傍目にもわかる日本の宿泊業界による外国人材採用
< 宿泊業と特定技能 >
現在の新型コロナウイルス騒動の前までは、多くの業界で景気が良く「人手不足だ」という声があがっていました。
ベッドメイキングなど、どうしても人間が行なわなくてはならない仕事がある宿泊業界でも人員確保は重要な課題であったはずです。
そのような中で日本政府がようやく重い腰をあげて、労働力確保の為に入管法を改正するという取り組みがなされることになりました。
宿泊業は含まれるのか?
飲食業は含まれるのか?
コンビニ業界はどうなのか?
各業界が固唾を飲んで見守っている最中、
宿泊業界はベトナムにおいていち早く動き始めました。
日本語学科があるベトナムの大学と協力して、
日本で働く人材を供給してもらおうと動いたのです。
ベトナムにおける偏差値上位の名立たる大学たちです。
そこの学生にベッドメイキングをさせるのか?とベトナムを知る多くの日本人が呆れた目で見ていました。
そして、遂に出来上がった新在留資格「特定技能」です。
見事、宿泊業は対象に含まれました。
しかし、大きな誤算がありました。
特定技能は非常に使い勝手が悪かったのです。
ベトナムの大学と協力しても意味がありませんでした。
(正確にいうと、まったく意味がないわけではないのですが、ベトナムから招へいするには送り出し機関を介さなくてはならないのです。ベトナムの大学は送り出し機関になれません。)
< 宿泊業と技能実習制度 >
その後、再び宿泊業界の動きは速かったです。
早々に特定技能を見限ったかのように、
技能実習制度の作業項目に宿泊業界の仕事を加える動きが始まりました。
特定技能の内容が明らかになってすぐに、です。
技能実習制度は「先進国で技術を学んで母国の経済発展に寄与するための技術移転の制度」であったはずなのですが、誰もがそれは建前であることは承知しつつも”建前は建前として存続している”と思っていました。
もはや日本側の都合で技能実習生に実習させる作業項目が増えていきます。
すぐに動き出した宿泊業界でしたが、
ここでも誤算が生じました。
東京オリンピック・パラリンピックには間に合わないのです・・・。
特定技能に期待した期間が無駄でした。
始めから技能実習制度を目指していれば間に合ったはずです。
それでもオリンピック・パラリンピックの余韻で好景気が続き、
観光客が増えれば、
技能実習生の受け入れを望む宿泊事業者は多かったかもしれません。
ところが、技能実習制度に宿泊業の仕事が 加わったと発表されたほぼ同時期に起きたのが現在世界中をかき乱している騒動です。
< 宿泊業と新型コロナウイルス >
宿泊・観光業は大打撃です。
外国人材の採用どころか、
現社員の雇用の継続、経営の存続が危ぶまれています。
このタイミングで将来を見越して技能実習生を受け入れる決断をするのは、
大胆な勇気が必要となります。
実行する経営者は少なかろうと思います。
入管法改正は人為的な出来事なので誰が悪いと特定することもできそうですが、
新型コロナウイルスに関しては、外国人材の招へいにかかる日数を考えるとタイミングとして不運であったと言いざるを得ません。
今後の動向に注目です。
※当社はコンサルティング会社なので経営や外国人材採用における「問題解決」を仕事としています。
御社にとっての最適解をいっしょに考え、ご提案したいと思いますのでご相談ください。