ベトナム人にとって家族が一番大事(後編)
ダメな弟を背負って生きてきたベトナム人元技能実習生Tさんの半生
<働けど働けど・・・>
日本人男性に好まれる容姿と声質の持ち主だったTさんは、美貌と日本語能力を活かして、水商売の道を究めていきます。
年数を重ねるにつれて、キャストからマネージャーの立場に、そして自分の店を持つようになりました。
でも、稼げど稼げど、その分を愚かな弟が浪費していきました。
弟の結婚式費用は、Tさんが全部出してやったそうです。
ベトナム人が結婚する際は多くの場合、新居を設けるのですがそれもTさんが用意しました。
弟の嫁がエステシャンだからと、1階を改装して、エステの店を作ってあげたそうです。
打ち出の小槌を持っている弟、
そんな弟の妻になろうとする者に商才があると期待するのもおかしく、お店は作ったそうですが、子供ができたのでオープンせぬまま閉じたそうです。
<ダメな弟に憑りつかれたTさんの生き様>
当時、Tさんの次の目標は、弟の子どもを大学に行かせる費用を貯めることだと話してくれました。
Tさんは、技能実習生のときに学んだ縫製技術を活かして、自分で縫製会社を起こしました。
自宅を作業場にして社員2人を雇った小さな会社です。
下請けも行うし、店頭販売もする。
Tさんは行動力もあるので、巧みな日本語で日系縫製企業からの仕事をいくつか受注することができていました。
ところが元請会社からのクレームを受け、さらに店頭販売もうだつが上がらず、1年持たずに会社を閉鎖することとなります。
そして、Tさんは水商売へと戻って行ったのですが、そのとき30才を超えていました。
この後、しばらく会う機会がなかったのですが、1年後ぐらいに偶然再会した際に聞いた話では、
弟は浮気して相手を妊娠させ、元嫁とは離婚して、新しい嫁を迎えたそうです。
その結婚費用はTさんが全部出したとのことです。
もちろん。