【在留資格:“技能実習”】
「技能実習生」と「エンジニア」の比較において、おおざっぱに説明すると、技能実習生は①雇用期間に上限がある(1年・3年または5年)、②単純作業・現場作業・肉体労働などの業務に専従させることができる、③必ず仲介業者(送出機関・監理団体)が介入しなくてはならない、といったことが挙げられます。
ニュースや新聞で技能実習生が起こす問題・犯罪が取り上げられていますが、(当然、問題を起こす本人にも責任はありますが)仲介業者が介入していながら問題が起こるのには仲介業者側にも教育管理に責任があり、場合によっては仲介業者が問題の火種を撒いていることすらあります。
法律上、最低限関与しなくてはならないのは、「外国側の送り出し機関」と「日本の監理団体(≒組合)」です。
つまり、本人←→送出機関←→監理団体←→企業または団体等、という図式となります。
厄介なのは、この構造の中に、さらなる仲介業者または個人(紹介者など)が加わることがあります。
本人←(仲介業者A)→送り出し機関←→受け入れ機関←(仲介業者B)→企業または団体等
A,Bで済めば未だしも、C,D,Fと増えていくほどに仲介業者への手数料の上乗せ、情報の食い違い、責任のなすり付け合いなどの問題が発生しやすくなります。
私どもは技能実習制度においては、仲介業者にならないようにしています。
信用おける送り出し機関や受け入れ機関の紹介を行いますし、必要な情報は提供します。
我々は(代理人となってほしいという特別な要望がない限りは)仲介業は行いませんのでご安心ください。
癒着が凄まじいから
この一言に尽きるかと思います。
なので、技能実習制度および技能実習生に関連する問題は、しばらく尽きないかと思います。
令和元年9月6日
ベトナムの送り出し機関2社がベトナム国政府認定送出機関リストから削除され、この送り出し機関2社を経由した技能実習生受入れができなくなりました。
令和元年10月8日
日本の監理団体2社が監理団体としての許可を取り消されました。
理由は、上記ベトナムの送り出し機関2社と不正な取り決めを交わしていたからだそうです。
なぜ1社でなく、2社ずつなのか?
4社はグループ会社なのか???
日本側の関係はわかりませんが、ベトナム側はベトナム国内2大送り出し機関のグループに、別々に属しているので、同じグループ会社ではないはずです。
叩けばホコリがわんさかでてくることは、
この業界に関わる者たちであれば、大勢が知っていることです。
行政が処分を下すには、不服申し立てへの対抗措置や訴訟に備えて確固たる"物的証拠"の用意が必要であると思います。
言伝の情報や音声データ・メールやメッセージのやりとりでは証拠能力としては充分ではなく、「そういったやりとりはあったけれど、実現しなかった」という言い逃れができるかと思います。(「冗談だった」とか…。)
そうなったときに、物的証拠として心強いのは両社の代表印や代表者のサインが入った書面です。
処分を受けたベトナムの送り出し機関2社は、なぜその相手(監理団体)のみに不適正な条項を盛り込んだと考えるより、
他の取引先とも交わしており、明るみに出ていないだけ。または、こういったことはこの業界内で頻繁に行われていると考えるべきなのではなかろうか?
だとすると、「不正は許さない」という姿勢で取り締まるのであれば、全監理団体一斉家宅捜索(事業所捜索)を先に行うべきであり、たった2社の処分情報を事例のように公開することは、他の監理団体たちに対して「今のうちに証拠隠滅を図れ」という裏メッセージと時間を与えたように捉えることができます。
すべての不正が明るみになって困るのは、取り締まる側も同じです。
自分たちへも責任が及ぶかもしれません。
また、この制度が廃止されると、取り締まる側の居場所もなくなりますので。
仮に真相把握をはかる捜査があるとしたら、証拠隠滅の恐れがあるために捜査情報が漏れることを警戒するはずなのですが、調査した結果、只ならぬ悪しき行いで溢れていることが解ってしまい、一度「今のうちに証拠隠滅を行うべし」と暗に注意勧告したにも関わらず、未だに浸透しないから「再度の注意勧告」という意味深な警告文を発しました。
過去の不正行為はすべて水に流すということなのか?
技能実習制度が無くならない要因は、JITCOやOTITだと思っています。
正義の味方だと思っていた大きな存在が実は諸悪の根源であるというマンガやドラマなどではありがちな展開です。
日本政府および行政は、作ったものを壊せないのでしょう。
なので、技能実習制度を残したいのではなく、JITCOやOTITを残したいので技能実習制度が残っているという捉え方ができます。
この制度に問題があることは周知の事実です。
国連から「現代の奴隷制度だ」と非難されるぐらいですから、
遠くない未来、他国から集団訴訟を起こされてもおかしくありません。
「知らぬ存ぜぬ」で済まそうとするのであれば、厳しい言い方となりますが、
管理する能力が備わっていない団体・組織という評価となります。
潔く、全責任を負って解散してもらいたいです。
技能実習制度を廃止して、新たな在留資格を作る。
ベトナム人に限らず、技能実習生として日本にくる外国人は、”実質的に"本人が希望する転職が不可能です。
(監理団体の協力を得られれば可能ですが、監理団体が協力する理由と監理団体の収入は受入企業から得ているので、技能実習生に味方する理由が乏しいです。)
失踪理由は、千差万別です。
それぞれが悪い場合があります。
1.本人(例:承諾していた雇用条件に不満を頂き失踪、等)
2.受入れ企業(例:セクハラ、パワハラ、残業代未払い等)
3.ベトナム側の問題(例:詐欺、搾取、強制的借金、等)
3.日本側の問題(例:詐欺、日本人およびベトナム人等による誘惑、等)
"失踪斡旋市場および、そのケア"がかなり充実しているので、
最低賃金で酷な労働を強いられ、(建前がとっくに崩壊している)大した技術も得られない技能実習生制度を全うするより、
「出稼ぎ労働者」として短期間でいかに多く稼ぐかがニーズに沿って育っています。
(※詳しくはこちら)
【技能実習生とエンジニア(技術者)との比較】
技能実習生(※団体管理型) (在留資格:技能実習1号、2号、3号) |
エンジニア・技術者 (在留資格:技術、人文知識、国際業務) |
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契約相手 | 企業 ⇔ 監理団体 ⇔ 送出機関 ⇔ 個人 | 企業 ⇔ (当社) ⇔ 個人 |
雇用期間の上限 |
1年、3年、5年が上限 (5年については諸条件あり) ※5年以上は不可だが業種によっては特定技能へ |
無期限 (※有期限にすることも可能) |
職務内容の範囲・条件 | エンジニアと比較すると、対象範囲は広い | 高度かつ専門性の高い仕事、など |
日本語能力 | 送出し前の日本語教育が必須 | 必須ではないが、教育を受けさせることは可能(一般的に、学費は本人負担で、その間に給料を支払う義務はない。) |
学歴要件 | 義務教育以上(※高卒者が多い) |
外国の短大卒以上 または、日本の専門学校以上 |
賃金 |
一般的には最低賃金が多い。 (土木建設業等は最低賃金では応募が無く、やや高めに設定している傾向がある。) |
日本人の新卒と同レベル |
内定から就業までの 期間 |
6か月~1年6か月またはそれ以上 (法改正により審査期間が長くなった。) |
最短3か月程度 |
自動車運転免許書の取得 |
(原則)不可 |
可 (ベトナムの運転免許は一定条件をクリアすれば日本の運転免許へ切替可) |
妻(or夫)及び子の同行 |
不可 |
可 |
雇用者への給与以外の企業側の支出 |
支払相手は、監理団体(=組合) 入会金や毎月の管理費など。 (一例として、給与を除いた諸経費は3年間で150万円×人数)※業種業界や受入人数等によって異なる。 |
支払相手は、当社 |
問題発生率 |
エンジニアと比較すると、高い傾向にある (例:失踪、軽犯罪、労働紛争など) |
当社の場合、軽微なもの(時が経てば思い出話・笑い話で済む程度)を除けば、無し。 |
(日本国内での) 転職可否 |
ほぼ不可 |
可能 (※抑制するテクニックはお伝えします。) |
注意点 (土木・建築・建設業) |
ゼネコンの下請け現場での |
ゼネコンの下請け現場での 作業不可 (※外国人建設就労者建設現場入場届出書で求められる要件を満たしていないため) |
その他 (所感) |
期間限定で、お金を稼ぐためにやってきているので、金銭面や就労条件についてガツガツしている印象がある。 労働者側も企業側も多くの情報(SNSや情報屋など)を有しているので、争いが起きやすい。 |
面接時には「ずっと日本で働きたい」と言っていた者たちは、半分が定年退職まで日本で働きたいという者たち、半分が5年~10年後はベトナムに戻りたいという者たちとに分かれる傾向がある。 技能実習生と比較すると、期限の定めがない(もしくは更新が可能な)ため、企業側の方針と協調しようとする姿勢が感じられる。 とはいえ、給料を上げてほしいという要望は日常茶飯事なので、予め人事制度やキャリアプランを説明しておいた方が無難。 |
※2020年11月3日 現在
[主幹]
日越貿易合同会社
西村HCM(ホーチミン)事務所(担当:西村)
住所:Nguyen Van Mai, P. Vo Thi Sau, Q3, HCMC, Vietnam
TEL : +84 79 843 5609
日本では名を轟かせている3大牛丼チェーン店である吉野家さん・すき家さん、そして松屋さんが遂にベトナム最大の商業都市"ホーチミン"に出揃いました。